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土と木と便り


2023年8月号


今回は「土と木と」という名前の由来についてお話ししたいと思います。

以前酪農をしていた頃、いずれ離農して暮らし方を変えたら「土と木と」という屋号名で何かをやりたいと考えていました。その時点でもうすでに、日々の暮らしの中で珈琲豆を焙煎していましたが、その時はまさか焙煎そのものを仕事にしていこうとまでは考えていませんでした。

そして実際に離農し、たまたまこの土地とこの家に出会い、荒れてしまった畑を再び耕し、伸び放題になっていた草や木々の手入れをして、まだまだ住めるこの家を自分たちでリノベーションしたり、珈琲豆の焙煎をするための小屋を建てたりしているうちに、そもそもこういう暮らし自体が私たちの仕事なのだと実感しました。

いつの時代も、どんな仕事をして、どこに暮らしていても、人が生きていくためには決して土からは離れられないものです。そして、その土からは木(植物)が育ち、実りを得られ、そのおかげで初めて生きていけるものです。全てが例外なく土と木につながっています。

土と木と私…
土と木とあなた…
土と木と水…
土と木と動物…
土と木と暮らし…
土と木と世界…

その流れや繋がりを大切にしていきたいから必然的に「土と木」ではなく「土と木と」という名前になりました。

食べ物や日用品は人の暮らしやその時代の生活文化の様子をよく表すものです。後先を考えることのない大量生産消費型の暮らしが当たり前となってしまった現代は、残念ながら暮らしの質や生活文化のあり方は決して何世代も先まで続けていける持続可能なものとは言えず、あまり良いものではないと言わざるを得ません。

そうした状況を目の当たりにして、今の私たちに出来ることは何だろうか…そう思った末に自分たちの暮らしの中から質を高めていきたいという気持ちになりました。

もちろんそんな大げさなことではありません。そもそも私たちに出来ることなどたかが知れています。畑で無農薬の野菜を作ったり、環境をこれ以上汚さないような選択をなるべくしたり、自分たちでお店を作ったり、この場所で手の届く範囲の出来ることをしながら面白おかしく小さく暮らしています。

そして珈琲は飲用の始まりとされる中世ヨーロッパの市井の人々に倣いいつでも煎りたてのものを。暮らしの中で使う道具などは古物や手仕事のものを大切にしたいと思っています。

そうした私たちの暮らしを表現していく…それが「土と木と」です。