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土と木と便り


2023年10月号


焙煎小屋の横にある大きな松の木に絡みついたツルウメモドキの実の、黄色と赤のコントラストが美しい季節が来ました。同じく松の木に絡みついている山葡萄も色付いてきたのですが、今年はエゾリスを三匹見かけたので(たぶん親子)、リスや野鳥のために今年は収穫しないでおこうと思っています。

さて、自宅兼店舗のリノベーション工事のため今年1月から臨時休業をしている土と木とですが、当初の予定よりも大幅に再開が遅れてしまい、10月1日現在でも工事が続いている状態です。この10か月間でカフェスペース、台所、玄関の順に1か所ずつ仕上げてきました。そして今後はトイレとその周辺を仕上げ、客席用のテーブルやカウンターを作れば工事が全て終わりいよいよ完成です。お店の再開を楽しみにしてくださっている皆様をお待たせしてしまい大変心苦しいのですが、どうにか今年中の再開を目指し、ラストスパートを掛けていこうと思います。

そもそもなぜ、建築素人の私たちがわざわざ休業してまで新たなお店をDIYで作っているのかというと、そうするしか納得できる方法がなかったからです。現在住んでいるこの家を購入した当初は工務店にお願いして全面的にリフォームをしてもらおうと考え、見積もりを出していただき、担当の方と打ち合わせを重ねてきましたが、細かな部材の選定や仕上がりについての考え方でどうしても折り合えず、大きな金額を掛けても自分たちにとって思い通りのものが出来上がるわけではないのだなということを心底実感しました。

そこで出た答えが、それならば自分たちで工事をやってしまおう、たとえ下手でもそれはそれで味じゃないか、一般的な「きれいな仕上がり」に囚われるよりも自分たちのオリジナリティを大事にしていこう…ということでした。そんな思いから自宅のフルリノベーション作業が2020年の春にスタートし、途中で焙煎小屋を建てて土と木とを開業、そして今年1月から再びリノベの続きを行っている所です。

建設業では職人不足が深刻化し、木材やその他の資材も価格が高騰していて、今後は新しく家を建てたり、リフォームすることがだんだん難しくなっていくのではないかと不安視されています。それは農業でも他の業種でも同様で、働き手がいなくなり、このままでは社会が機能しなくなるのではないかとも言われています。もし本当にそうなった時、それでも力強く前に進んでいけるのは暮らしに必要なものを自分で作り出せる人だと思うのです。私たちも一から十まで全ての必需品を作り出せるわけではありませんが、家を直したり、毎日食べる野菜を育てたり、暮らしの中でやろうと思えば出来ることを何とか自分たちなりにやっています。そして出来ないことは信頼できる人やお店にお願いしたり買ったりすることも大事にしています。

作り出していく楽しさを味わったり、選択しながら買い物をするそういう日々を大切にしながら、今日も私たちはこの場所で家をリノベしています。