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土と木と便り


2024年6月号


新緑が深まってきました。畑を耕し、夏野菜を植える準備をしていると、近くの茂みから野鳥の雛の鳴き声が聞こえてきてとても賑やかです。

店舗の再オープンから1か月ほど経ちましたが、お陰様でたくさんの方々に当店へ足を運んでいただいております。焙煎小屋で営業していた頃は珈琲豆と雑貨を販売するのみでしたが、今般から新たにカフェスペースを作り、椅子に座ってゆっくりと珈琲を飲んでいただけるようにもなりました。

カフェの歴史は17世紀〜18世紀にヨーロッパで流行したコーヒーハウスが起源とされています。コーヒーハウスは多くの人が集まる情報交換の場となり、そこから新聞などのジャーナリズムが発展し、株式取引や郵便制度も始まったとされています。

日本でも明治時代に喫茶店が誕生し、「コーヒーを飲みながら知識を吸収し、文化交流をする場」として広められていきました。第二次大戦中にコーヒーの輸入が完全に禁止されたため、供給源を断たれた喫茶店は次々と閉店しましたが、戦後の復興と高度成長の過程で喫茶店が大ブームとなり、人々の居場所として独自の進化を遂げてきました。

当店でも、珈琲を片手に本をじっくり読んでいかれる方がいたり、家事や育児の合間に一人になってホッと一息ついている方がいたり、スマホに触れることもなく窓の外の景色を見ながらのんびりと過ごされる方がいたりと、それぞれ思い思いにこの場所を楽しんでいただいているようです。その光景を目の当たりにして、この空間を作って本当に良かったと、日々しみじみと感じています。

時代が移り変わり、どれほど便利な暮らしが出来るようになっても、心の安らぎを求めていくという本質的なことは決して変わらないものです。町はずれにある当店にわざわざ来ていただいた皆様に居心地の良さをいつでも感じていただくためには、やはり美味しい珈琲が必要不可欠です。美味しい珈琲をお出しするためには、やはり煎りたての豆、挽きたての粉、淹れたての珈琲でなくてはなりません。

これからも当店は珈琲豆屋として、店頭でもオンラインストアでも、いつでも煎りたてのものをお届けしていきます。