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土と木と便り


2024年8月号


今年も北海道は30度超えの日々が続きました。朝晩はとても涼しいのですが、日中の暑さはひと昔前とは違って北海道も暑くなっています。来年はサツマイモや落花生を栽培してみようかと考えています。

今年の春のことですが、自治会の行事として毎年行われている町内一斉清掃に参加してきました。ご近所の方々と一緒に道端にポイ捨てされたゴミを拾い集めてきたのですが、ほんの少し歩いただけでゴミ袋が一杯になってしまいました。ポイ捨てゴミのほとんどは煙草の吸殻、空き缶、ペットボトルなどでしたが、なかにはコーヒーのドリップバッグの使い捨てられたものもありました。こういうものを目にすると何だかとてもやるせない気持ちになります。

当店にお越しいただいた方から時々「ドリップバッグはないのですか?」というご質問をいただきますが、当店ではドリップバッグの製造・販売は行っておりません。その理由は大きく分けて2つあります。

1つ目は、ドリップバッグという商品の性質上、珈琲1杯分ずつの粉とフィルターが個包装になっていて、1杯飲むごとにどうしてもゴミをたくさん出すことになってしまいますので、それを避けたいからです。環境問題や持続可能性が問われる現代社会において、製造者がその商品を作り、消費者がその商品を買うことによって環境や未来にどのような影響を与えるのかを少しでも意識したいところです。お菓子やパンなど、商品を一つずつ包装することがやむを得ないものもありますが、珈琲についてはわざわざ個包装しなくても十分に楽しめるものです。ゴミが増えるものを意識的に作らない、買わないようにしていけば、そういうもの自体に需要がなくなり、やがて誰も作らなくなり、販売されなくなっていきます。

そして2つ目は、ドリップバッグは珈琲豆の二次加工品のため珈琲の品質や風味を著しく低下させてしまうものだからです。美味しい珈琲の条件は生豆の産地やグレード、ブランド的な価値ではなく、何と言っても煎りたて、挽きたて、淹れたての三大条件が揃っていることです。ドリップバッグで淹れる珈琲はそれらの条件からはどうしても遠ざかってしまいますし、そもそも私たち自身がドリップバッグを買ってまで珈琲を飲みたいとは思わないので、自分が買いたいと思わないものをわざわざ作って販売することなどありません。

コーヒー業界に目を向けると、大手のコーヒー企業から中小のロースタリーカフェに至るまで、そのほとんどにおいてドリップバッグの製造・販売が行われています。なかには自前での製造が追いつかないため、わざわざ外注までして作ってもらったものを販売している珈琲店もあります。それは単純に、「ドリップバッグは売れる」からなのだと思います。資本主義社会において利益を追求すること自体は当然のことですが、しかしその利益をあえて少し捨てて損をしても、それが少しでもゴミを減らし、わずかなことでも環境問題への取り組みとなり、やがて未来へと繋げていけるのなら、今まさにそういう方向性へと舵を切っていくべき時なのだと私たちは思っています。

長々と書いてしまいましたが、なるべくゴミを減らし、品質の良い珈琲をお届けするためにドリップバッグの製造・販売は行わない…。まとめるととても単純な理由ではありますが、これからもブレずにその思いを貫いていきたいと思っています。