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土と木と便り


2024年11月号


早朝の最低気温が氷点下を下回る日がチラホラ出てきました。 こちらは長い冬がやってきますが、温かい珈琲がより美味しく感じる季節でもあります。

さて、今回は珈琲豆の煎りについて書こうと思います。珈琲豆の苦味や酸味の違いは豆の焙煎度合いの違いによって表れてくるものです。浅く煎ったものほど酸味が出て、深く煎ったものほど苦味が出ます。そうした単純なことは少し考えれば誰にでも理解できると思うのですが、なぜか日本の珈琲文化の中では今一つ理解されていません。

一般的に、キリマンジャロやモカが特に酸っぱい珈琲と認識されているのは極浅煎りのものがたくさん出回ってきたからだと思います。確かにキリマンやモカの生豆は酸味の出やすいものですが、それでもある程度以上深く煎れば酸味が無くなり、同時にコクが深くなり甘みも引き出され、苦味が好きな方にも好ましい珈琲になります。ですから、珈琲豆をご購入される際はその豆の銘柄の持つイメージだけで判断せずにその豆の焙煎度合いが自分の好みかどうかで選ぶことをお奨めいたします。

生豆は焼くほどに水分や油分が飛んで目減りしていきます。珈琲業界としては同じ生豆でも深く焼くほど嵩が減ってしまうということは製造原価率が高くなってしまうので、なるべく浅く焼いて原価率を低く抑えたいと考えるのが自然な流れなのでしょう。

近頃の珈琲業界も相変わらず浅煎り(酸味)寄りです。日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)は珈琲豆を高級品化させるためにサードウェーブコーヒーブームを仕掛けました。それに感化されたカフェや珈琲豆屋はグレードの高い生豆だけが本物の珈琲だと思い込み、そして酸味こそが珈琲の醍醐味かのようなウンチクを語っていたりもしますが、ほとんどのお客さまは酸っぱい珈琲を望んでいないのが実態です。カフェ特集の雑誌に出てくるようなハイグレード品の生豆や高価な焙煎機、洗練されたデザインのおしゃれな抽出器具を使えば美味しい珈琲が飲めるわけではないのです。

珈琲はやはり煎りたて、挽きたて、淹れたてのものが一番です。この3条件と、その人の好みに合った焙煎度合いを選ぶことで美味しい一杯に出会えます。当店は開業から3年間、この基準だけでずっとやってきました。そもそも私たち自身があまり酸味の強い珈琲が好きではないので、どの焙煎度合いのものも少し深めに焼き上げています。

珈琲は本来、生活の中のものです。生活の中のものだからこそ良質なものを選んでいただきたいという思いを込めてこれからも煎りたての珈琲豆をお届けしていきます。