土と木と便り


2025年1月号


今年もいつものように雪が降り、積り、雪原の上には至る所にキツネやリスやウサギといった野生動物の足跡が沢山あります。小さくて可愛くて逞しいその足跡が見られるのは、雪国の冬の醍醐味かもしれません。

2025年が始まりました。物価高、人手不足、災害の多発、長引く不況など、私たちを取り巻く社会環境は混迷を極めるばかりですが、それでもたまたまこの時代に生まれてきた私たちは、毎日を精一杯生き抜いて、出来ることなら目一杯楽しんでいきたいものですね。同じ地球上で暮らしている野生の動物たちは皆、太古から変わらず自然の流れに沿って力強く生きていますが、人類だけは文明の発達とともにどんどん生きづらくなっています。なぜこうなってしまったのか、どうすれば生きづらさが少しでも解消されるのか、考えてみました。

結論から言ってしまうと、やはり資本主義社会というあり方、その中で生きていくという選択をしてしまったことこそが、私たちを生きづらくしてきたのだと言わざるを得ません。人々が地球上で自然の力を借りなければ生きていけないということさえも忘れ、お金を稼ぐことを第一に、お金の力のみで生きていこうとすれば、富の偏在、格差の拡大、大量生産消費に伴う環境破壊、武器弾薬を製造消費するために行われる戦争…必然的にそうしたことに辿り着いてきました。

資本主義…読んで字のごとしで誰もがお金を稼ぐための世の中です。人々がお金の力に頼ろうとすればするほど、時にはルールやモラルさえもお金の力によって捻じ曲げられてしまいます。お金持ちがますます金持ちになろうと企み、そうでもない人は安物買いの銭失いのような暮らしに陥れられていく仕組みです。一方で、資本主義的な世界を築いたからこそ実現出来たこと、つながった人々、広がった可能性もありますので、これほどまでに人々の暮らしに根付いたあり方を今さら全否定する必要もないとも思います。そもそも当店が珈琲屋として開業し、皆さんにいつもご注文をいただいていることで暮らしていけるのも、現代的な資本主義の仕組みの中にあるからこそです。

しかし、やはり資本主義社会にはそれ以上に多くの負の側面を持ったものだと認識しなければいけないと思います。そのことについて危機感を持った者たちが政治的な力を結集し、世の中の仕組みを変えていくことが最も望ましいのですが、残念ながら現状でそれはなかなか簡単にできることではないようです。ですが、個人的に出来ることは沢山あります。私たちはこの10年間、意識的に資本主義とは無縁の自然の力を借りることを暮らしの中に取り入れてきました。最も手っ取り早いのは、小さな畑を耕し、種を蒔き、農薬や化成肥料を使わずに野菜を育ててきたことです。そして、畑で採れた大豆でほぼ毎年のように味噌を仕込んできたことです。それらは誰かからお金を得るために行っているのではなく、あくまでも自分たちが食べるためだけに行っている、お金の出入りのない手作りの小さな生産と消費の活動です。その他にも廃材を使ってDIYをしたり、生ごみやコーヒーの出し殻や枯れ草を積み上げて堆肥を作ったり、その辺にあるもので何とかすることを暮らしの中で心がけてきたことで、お金の力に頼らずとも、手の届く範囲で豊かさを築き上げていけることを身を持って実感してきました。

日本や世界の行く末を思うと、どうしても悲観的な気持ちにならざるを得ないのですが、それとは別に自然の力を借りれば生きていけることを知っていれば、多少の困難には対応できるから大丈夫だろうという楽観的な気持ちにもなれるものです。そうは言っても、やはり今は大変な時代であることに変わりはありません。そんな中でも創意工夫をしながら荒波を乗り越え、少しでも心穏やかに過ごせるひと時を大切にし、今年も一年間ともに頑張っていきましょう。