土と木と便り


2025年4月号


敷地内の陽がよく当たる場所にフキノトウや福寿草が芽を出し咲き始めました。まだ雪が残っている場所や寒い日もありますが、確実に北海道の春がすぐそばまで来ていることが実感できるこの時期は光が差し込むように心躍ります。

3月上旬のことですが、その日は朝から天気がとても良く風も弱かったので、開店前の空き時間に畑へ行って土やコーヒーカス(ドリップした後のコーヒーの粉)を撒きました。これが融雪剤の代わりになって、畑に積もった50cm〜1mほどの分厚い雪を早く融かしてくれるので、この作業は毎年この時期に必ず行っています。

北海道のような雪深い地域での畑作りは、どんな作物を栽培するにしても春は先ず、地面を太陽に当てて、土の温度を上げてあげることがとても大事なのです。ですから、雪を早く融かすために、黒い粒状のものを白い雪の上に撒いて太陽の光から熱を集め、雪を融かしてあげるというちょっとした工夫をするものです。

特に前年の秋に植えたニンニクはなるべく早めに芽出しをしてやることで生育を促し、それがそのまま夏の収穫量に影響してくるものなので、ニンニクをたくさん栽培しているわが家にとって畑の雪を早く融かすことはとても大切な作業なのです。以前は市販の籾殻燻炭を買ってきて、それを融雪剤として畑に撒いていましたが、カフェとしても日々お店を開いている今では、コーヒーカスが毎日たくさん手に入るのでとても助かっています。

当店では珈琲を淹れた後、コーヒーカスは全て回収し、融雪剤にしたり、玄関の脱臭剤にしたり、米ぬかと混ぜて発酵肥料を作るなど貴重な二次産物として一粒残らず大事に使用しています。捨ててしまえばただのゴミですが、アイデア次第で活用すればお宝にもなります。

わが家の畑作りを振り返ると、気付けばもう10年間やり続けています。最初のうちは自分たち自身が若かったのもあって、少し頭でっかちで肩に力が入っていて思うように出来ないことも多々ありましたが、年々経験を重ねるうちにあまり無理せず、気張らず、手の届く範囲で楽しみながら美味しいものを作ろうと思うようになりました。

そうするとやはり、よそから買ってきた肥料や資材を畑に撒くよりも、コーヒーカスや生ごみや落ち葉など、日々の暮らしの中で手に入るものを使い、お金を掛けず、エネルギー負荷も少ない、ずっと続けていける方法を選択するようになりました。

コーヒーカスさえも大切にしている珈琲豆屋、土と木とです。

【お知らせ】 AIR DOの機内誌ラポラ4月号に当店が掲載されています。いつも顔写真は恥ずかしいのでお断りするのですが、なぜか今回はバッチリ顔写真が載っています。1ヶ月間AIR DOの機内で読めるそうです。ネットでも購入可能だそうですので機会がありましたらぜひお手にとってみてください。