土と木と便り


2025年11月号


先日のことですが、お店の定休日を利用して2泊3日の小旅行に出かけてきました。向かった先は北海道の道北地方。国道232号線の「オロロンライン」と呼ばれている日本海沿岸の道を車で走りながら、各地の特産品を味わったり、鮮やかに色づいた紅葉や日本海に沈む夕日を眺めたり、歴史的な建造物を見学したりと、とても楽しい3日間になりました。

この旅では各地の郷土資料館(博物館)を訪れてみることにしました。同じ北海道内なので、どこの郷土資料館でも基本的には明治以降の開拓の歴史とアイヌ民族の伝統的な生活様式を伝える内容になっていて展示物も似たような感じでしたが、漁村地域では古い漁具が、農村地域では古い農具がそれぞれ多数展示されていて、当時の厳しい自然環境に身一つで立ち向かい、困難な状況を乗り越えてきた先人たちの大変な苦労が、今日の私たちの豊かな暮らしの礎を築いてくれたことに思いを馳せることが出来ました。

しかし、どこの郷土資料館を訪れても施設が老朽化し、展示物についても維持管理があまり行き届かずに劣化したままのものが多く、国や自治体はそうしたことにほとんどお金を掛けようとしていないことが明らかで、それがとても気がかりでした。おそらく財政難を理由にしているからだと思いますが、郷土資料館は現代を生きる私たちにとっての歴史的・文化的な記録であり、とても価値のある知的財産なのです。先人たちの苦労の積み重ねの記録を軽視し、採算が取れないからと言って大切にしていかない国や社会には、明るい未来を紡いでいくことは到底不可能だと考えます。

近年では国も社会も合理主義的な流れがますます加速するばかりですが、やはり郷土資料館や図書館といった知的・文化的な公共施設に、経済合理性や採算性を求めること自体がそもそも間違っていると思います。そうしたものはむしろ採算など全く度外視すべきで、誰もがいつでも気軽に触れられるようにしておくことで、歴史と文化を守り、人々の知識と教養を深めていくための重要な役割を果たしていくことが出来るのです。今回の旅ではそうしたことについても改めて考えさせられる機会となりました。

そして旅のお供にはやはり美味しい珈琲が欠かせませんので、今回はリュックの中に珈琲道具一式を詰め込んで行きました。宿泊したホテルでは朝一番でお湯を沸かし、豆を挽いて淹れたての珈琲をタンブラーに詰めてその日の日程が始まります。淹れたての美味しい珈琲があるだけで、車の運転も景色を見るのも気分が上がりました。皆様もぜひ旅での珈琲をお楽しみください。