土と木と便り


2026年3月号


長引く不況や物価高に加え、近頃では反知性的な政治勢力の台頭、人工知能の急速な普及による倫理観の崩壊など、私たちが当たり前のように教えられ、自由に暮らしてきたはずの民主主義や資本主義という世界は凋落の一途を辿り、この先のことをあれこれ考えるとついつい不安な気持ちになってしまいます。ですが、そんな状況であっても珈琲を淹れてゆっくり楽しんでいる時ぐらいは、ほんの少し気の晴れた、心穏やかなひと時を過ごしたいものですね。

わが家の窓辺には真冬の間、毎日のようにエゾリスや野鳥(主にスズメ、ミヤマカケス、ヒヨドリ、ゴジュウカラなど)たちがやってきて賑やかでした。そして、少し遠くを見てみると雪原の真ん中でキタキツネが何か食べ物を探しながら歩いている姿もよく見かけます。おそらく彼らにとっては私たちの感じている将来への不安など全くどうでもよいことで、ただひたすら四季の流れに沿って、何十年でも何百年でも毎年同じように身一つで自然の中を力強く生きているのです。そのことを思うと、私たちの抱えている不安や悩みなど実はとてもちっぽけなものだという気もしてきて、あまりくよくよしないで、気を取り直してまた頑張ろうと思えてきたりもします。

大自然と野生動物たちの関係を見ていると、変わらないものや流れの中に本当に必要なものがあり、それを守っていくことが豊かさや幸せではないかということに気が付かされます。

今年は例年よりも雪解けがグングンと早く進み、雪の間から土が見え始めてきました。2月までは様々な野鳥が行き交い賑やかだった庭ですが、野鳥も少しずつ数が少なくなってきたように感じます。暖かくなり虫も動き出し、人間が与える餌よりも土や木の中にいる虫の方を好んで探し始めているようです。私達も庭や畑の雪が解けたら、今年もまた野菜の種を蒔き、花の苗を植え、いつものようにこの場所で出来ることを目一杯楽しもうと思っています。

3月も珈琲を飲みながらゆったりとした時間をお過ごしください。